パンズ・ラビリンス

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ 他
上映時間:119分
評価:☆☆☆☆


『何故にファンタジーなのにPG-12?』と疑問に思っていたこの映画。ただのファンタジーではなく、ダークファンタジーでした。

舞台は、1944年の内戦終了直後のスペイン。内戦は終了したものの、未だゲリラと軍部の競り合いは続いている状況下。
主人公・オフェリアは母・カルメンと一緒に、現在山中でゲリラとの戦いを繰り広げている母の再婚相手・軍大尉の元へ身を寄せるところから、話は始まります。
元々空想好きだったオフェリア。彼女の前に現れた『妖精』が、牧神パンの元へ彼女を導くと、パンからこう告げられます。「あなたは、魔法の国のお姫様。3つの試練を乗り越えたら、魔法の国に戻る事が出来る」と……。
と、ここまで書くとおとぎ話チックないかにも『ファンタジー』らしいお話なのですが、悲しい事にオフェリアの描く世界は現実と呼応するかのように暗いものなんです。一番ショックだったのは、『妖精』でした。普通、私達が『妖精』を想像する時って、フワフワと空を飛ぶかわいらしい姿を思い浮かべませんか? でも、彼女の中の『妖精』は、虫のような異音を発して空を飛ぶ、例えるなら虫の進化形。
それに、色彩も暗いですし、試練の中で出て来る化物も気持ちの悪いものばかりです。それらが唯一明るくなるのは、彼女が死の間際に見た夢の中。最後に幸せな夢を見れただけ、彼女は幸せだったのかもしれませんが……。

それにしても、オフェリアの本当の父親は内戦で亡くなって、義父となった男性がどうしようもないくらい残虐な人だったら、そりゃあ現実から逃げたくなるのも仕方ないですよねー……。空想の中に逃げたくなるのもわかるような気がします。
結局のところ義父となった大尉も、あっけなく最期を迎える訳ですが、あんなにもこだわっていた『息子』をああした形で取り上げられた後の驚いたような顔が忘れられません。きっと、彼は彼なりにコンプレックスみたいなものがあったのだとは思うのですが……まぁ、人間悪い事はしてはいけませんね。ハイ。

この映画で一番印象に残っているのは、ゲリラを手助けしているお医者さんの言葉でした。「ただ言われるままに従う人間がいるとすれば、それは心の無い人間だ」という内容の言葉だったと思います。
命令すればどんな事でも思い通りになると思っている大尉にそう言い残し、彼は大尉の元を去ろうとし、拳銃で撃たれ殺されます。
こんな事を言えば恐らく殺されるとわかっていて、それでも怯えひとつ見せず颯爽と大尉に背を向け歩き出した彼の姿は本当に本当にカッコよかったです。彼こそ、本物の医者だと思いました。

全般的に後味はあまり良くないですので、スカッとしたい方にはお薦めできません。大人なファンタジーを楽しめる方は、ぜひどうぞ。

「パンズ・ラビリンス」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
テーマ: 映画感想 -  ジャンル: 映画
by minato  at 00:13 |  映画(洋画) |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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